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発達と老化の理解科目 第31回介護福祉士国家試験 解答解説

【問題73】要望が叶わなかった利用者の心の行く末は?

投稿日:

発達と老化の理解

利用者からのご要望は
丁寧に受け止めたいものです。
キャッチ&リリースではなく
キャッチしたら“ToDo”に
反映させていきたいものですね。

問題73

Aさん(95歳、女性、要介護3)は、介護老人福祉施設に入所して6か月になる。入所間もない頃は、「買物に行きたい」「友達に会いに行きたい」と、いろいろ介護福祉職に要望したが、それらの要望には応えてもらえなかった。現在Aさんは、認知機能障害はなく、身体的にも大きな変化や異常は認められない。しかし、ほとんどの時間をベッドで過ごしていて、「どこか行きたいところはないですか」と介護福祉職が聞いても、「ない」と答えるだけである。

 Aさんの現在の状態を説明するものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

選択肢

1.学習性無力感

2.反動形成

3.統合失調症の陰性症状

4.せん妄

5.パーソナリティの変化

オリジナル解説 by まぃせ

各選択肢の内容を確認してみましょう。

1.学習性無力感とは、希望や期待を胸に何かにトライしたり等の体験から学習した結果、「自分が何をしても変わらない、どうにもならない…」等と感じて、あきらめたような状態になってしまうことです。

2.反動形成は、適応(防衛)規制の中のひとつです。なんらかの状態や状況に対して不満・不安・不快等の不適応な状態に陥らないようにするための心理的なメカニズムのことです。

反動形成とは、知られたくない等の理由で抑えている欲求や感情と正反対の行動をとってしまうことです。正反対の行動をとることで、本当の欲求や感情を隠そうとします。例えば、子どもの頃によくある、「好きな子に対して、ちょっかいを出して困らせる」といった行動も、反動形成のひとつですね。

Aさんの現在の状態としては、要望を知られたくないから「ない」と正反対のことを言っている、とは捉えにくいです。

3.統合失調症の症状には、「陽性」と「陰性」があります。陽性の症状は、幻覚や妄想等、陰性の症状は、感情の平板化や意欲の欠如等がみられます。

事例には、Aさんが統合失調症だとは記載されていません。

4.せん妄は、認知症と間違えられやすい症状のひとつです。発症が急激で、意識が混濁したり、幻覚症状が現れます。日内変動がみられ、特に夜間に症状が現れることが多いので、「夜間せん妄」といわれたりもします。

Aさんは、認知機能障害もなく、身体的にも大きな変化や異常はみられない状態です。

5.パーソナリティとは、その方がもつ「人格」のことです。

前頭側頭型認知症の特徴のひとつに、パーソナリティの変化(人格変化)がありますが、Aさんには認知機能障害はありません。また、パーソナリティの基本的な部分については、老化によって大きく変化することはないといわれています。Aさんは、人格そのものが変わってしまったとは捉えにくいように感じられます。

というわけで、正答は選択肢1となります。

Aさんは、入所まもない頃はいろいろご要望をあげていました。今では、介護福祉職の方からきっかけを投げかけても、「ない」と言い、ご要望をお声にしてくれなくなってしまっています。

利用者の自立した望む生活や人生に向けて、その生活を支援する介護福祉職は、こういった「学習性無力感」の状態を、「意欲が低下している(とだけ判断して、その原因をつきとめようとしない)」「反応が薄いから認知症が心配」等と判断してしまうことがないように、十分留意する必要があります。

しかしながら、残念なことに、こういった判断は割と起こりがちな感じがします。

この問題をきっかけに、介護福祉士を目指すため!という学習だけでなく、日頃の支援への考え方の見直しや自己点検の機会にもなっているのではないでしょうか。

第20回介護福祉士国家試験(筆記&実技)合格

未来の介護福祉士サポーター まぃせ

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